理科のなやみ
5月に中間試験がある中学校の3年生に、中間試験に備えた授業を開始しました。現在、学校の授業でやっている3年生の分野に加えて、2年生の最後に習った分野も出題されると思われます。数学は、確率や箱ひげ図・四分位範囲、理科は磁界と電流のあたりです。
理科の授業をしていて、いつも感じることがあります。それは、「どこまで教えたらいいのだろう?」ということです。中学校と言えども、物理(エネルギー)、化学(物質)、生物(生命)、地学(地球)の4分野について、かなり広範囲に履修します。各単元は、ベーシックなものですが、ベーシックであるがゆえに、1つ1つの項目、法則はこれまでの自然科学の長い年月の間に実証されてきた理論ばかりです。
「なぜ、こういう現象が起きているか?」の知見やデータは膨大でとてつもなく厚みがあります。そのような理論をそのバックボーンまで含めて生徒に伝えるべきなのか?
例えば、2年生で学ぶ地球分野の「天気」。高気圧は下降気流が時計回りにカーブしながら噴き出し、低気圧はその逆で反時計回りに吹き込み上昇気流が生じると教えます。ここで、なぜ、気流は曲がりながら(カーブしながら)ふき出したり、ふき込むかというと、地球が自転することによって、コリオリの力が働くからという理論が必要になってきます。でも、これを説明して分かってもらうには、相当なスキルがいります。また、磁界と電流の分野では、なぜ磁界が生まれるのか? 地球が磁石になっているのはなぜ? という疑問は湧いてくるのは当然ですが、これを説明するのはほぼ不可能です。しかも、入試ではここまでは出ません。
実際、生徒には、「自然現象はふしぎでしょう、そしてすごいでしょう!」とお茶を濁しています。とは言いつつ、自然界の奥深さを感じてもらい、探究心を少しでだけでも刺激できたらいいと考えています。そして、生徒には、「なぜこうなるのか、不思議なことが多いけど、しっかり覚えようね。」と、覚えることを強調しています。「探究」と「暗記」。このはざまで悩んでいる日々です。