学びで一番大切なこと
テレビでコメンテーターとして拝見する山口真由さんは、東大法学部を首席で卒業し、財務省のキャリア官僚を経て、NY州弁護士資格を持っています。山口真由さんは、インタビューで「1回ですべてを理解することを目指す精読ではなく、何回も繰り返して頭のなかに内容を写し取っていく読み方でわたしは結果を出してきました」と断言しています。「同じ本を7回読む」勉強法によって、塾に通うことなく東京大学受験や司法試験に合格できました。
『最強の暗記術』(大和書房)の著者で、独学で東大、ハーバード大にも合格した“独学の達人”本山勝寛さんも、「1回で完璧に覚えようとすると失敗する」と言われています。本山さんによると、地道な反復、つまり「薄く塗り重ねていくイメージ」で複数回反復することで確実に暗記ができるそうです。その回数は、山口さんと同様に「7回」を推奨しています。ハーバード大に合格するには英語力が必須ですが、足りなかった語彙力を強化するために、「7回繰り返し」、3,800語の英単語をたった1ヶ月で覚え、繰り返すことの効果を実感したと言われています。
脳科学の見地から言うと、わたしたちの脳の容量は限られており、生存するのに必要ではないと判断した情報は、どんどん忘れるようにできているそうです。記憶は、「海馬」という部位が司っていますが、大切と判断した情報だけを記憶するようになっています。学校で学ぶことは、大切ではありますが、生存のためには、優先順位は下がってしまいます。私自身もそうでした。なんでこんなことを勉強しなければならないか、覚えて将来なんの役にたつのか、というクエスチョンだらけで勉強していました。こういう気持ちで勉強すると、脳が、覚えなくていいよと、判断してしまっていたのですね。その頃、高校生でしたが、ひどい成績を取ってしまいました。
勉強したことを大切だぞと脳に思わせる方法があります。それは、脳の性質を逆手にとって、繰り返し勉強することで、脳が大切なことだと判断してしまうそうなのです。脳を騙しているのですね。すると、脳は、記憶しようとします。理解もより深まり、別の知識とつなぎ合わせてより体系的に理解できるようになります。
学習塾にとって、良い授業、分かりやすい授業も大切ではありますが、それよりもはるかに大切なのは、生徒が繰り返し勉強できるようにしていくことなのです。