学力が二極化する英語
昨年度2021年4月から中学校でも教科書改訂が行われ、中でも最も変化が大きいと言われているのが、英語です。文科省の英語を使える日本人を育てるべきという大方針を受けて、教科書がかなり難しくなりました。英文法は、いくつか新しい項目が入ってきましたが、ものすごく大きな変化というわけではありません。一番、大きいのは、語彙数の増加です。それにともなって、教科書の英文が難しくなっています。「この英文、高校生、大学受験生でも訳すのは難しいのでは??」と思わせる英文が、中学2年生の教科書から、頻繁に出てきています。
英語は、以前から学力が二極化してきていると言われていました。テストで70点以上取る生徒の層と50点未満の生徒の層に「ふたこぶラクダ」のような格差です。このベースがあるところに、今回の教科書改訂が加わり、さらに二極化が顕著になってきている感覚があります。
英語が苦手な生徒は、文法はよく理解しています。ところが、英文読解になると読めない、という状況になっています。極端に言うと、英文をみた瞬間に、顔をそむけるみたいな感じです。では、なぜ読めないか? 原因の1つめは、英単語、熟語、構文を覚えていないことです。教科書改訂でこれまで中学までに1200語だったのが、2500語になりました。教科書では、この2500語を習得する前提で、英文が構成されているのですね。語彙力がないと読めません。2つめは、国語力に関係していると思っています。英文読解が苦手な生徒は、英単語の意味を1つしか覚えていないので、訳す時にスムーズな日本語にならないことが多々あります。「ことば」を扱うスキル、能力という言い方もできるかもしれません。とにかく、「適切なことばを使う」ことが苦手です。ここを、何とかしないと思っています。英語のドリルをやっても、英文は読めるようにはならないと思います。