一瞬も 一生も 美しく
一瞬も 一生も 美しく
これは、資生堂が出した企業スローガンです(2006年)。
このコピーを作ったのは、コピーライターの国井美果さんです。
たった9文字です。
なのに、メッセージが伝わってきます。
うまいなあ、と感心します。
OLD is NEW
これは、サントリーの商品広告のコピー(1995年)。
OLDというのは、当時はよく知られ、多くの人が飲んだことがある商品。
少し飽きられてきたかもしれない時に出したコピーです。
それを、is NEW というごく基本的な文章でつなげただけです。
このコピーを書いたのは、秋山晶さん。
秋山さんは他にも次のコピーを書かれています。
メカニズムはロマンスだ。(キャノン 1978年)
カメラのメカニズム(スペック)というハードなことばをロマンスという詩情的なことばで
つなげています。いろんな解釈ができますが、私は、対極にある2つの言葉をつなげて、
共感するメッセージを作ったところが素晴らしいと思いました。
最後に私が一番好きなコピーを紹介します。
糸井重里さんが書かれた新潮文庫のコピーです(1884年)。
想像力と数百円
「文学」という高尚でややもすると重いものを数百円につなげています。
たった数百円で想像の世界に行けるよ、
創造力を発揮すれば数百円で人生が豊かになるよ、
文学って、数百円で楽しめる気軽なものだよ、
などの声が聞こえてきそうです。
コピーはたった7文字です。
塾がある尼崎市の中学校では、2学期に「奥の細道」を授業で学びます。
閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声
松尾芭蕉が山形市にある立石寺で詠んだ有名な俳句です。
たった17文字から、
樹々の緑の濃さ、
聞こえてくるのは蝉の鳴き声だけ、
うるさいはずなのになんと静かなことだろう、
これこそが日本の夏、
などの情景、抒情が沸き上がってきます。
ことばのチカラってすごいと思います。
生徒さんにもことば力をつけていってほしいと思います。